その女性は、俺の部屋を訪れては煙草を拭かし
いつもの行為を求め、俺を煽ると貪るようにその行為に溺れた。
「お前もいい加減にしろよ」
彼が険しそうに言う理由は煙草か、または悪事に対してか。
「何を?」
自分の中では理解しているけれど、誤魔化すように清々しく聞き返した。
「ラスティのことだ」
分かりきってはいたけれど表面上ああ、と気付いた振りを見せる。
「何処までアイツを傷付ければ気が済む?」
「さあ、ね」
「好きじゃないならラスティに近付くな」
ミゲルの言葉には嘲笑し、辱めるような言葉を放つ。
「そうしたらミゲルが存分に私を抱けるから?」
ミゲルがかっと顔を赤らめるとは大笑いした。
「ラスティに嫉妬してるんでしょ」
「ッしてねえよ!」
ミゲルの反応を面白がるようにはいかにも愉しそうに笑う。
ラスティと一番仲が良いミゲルは最中も偶に申し訳なさそうに辛そうに私を抱いた。
「ほんとに・・・やめてくれ。ラスティを傷付けたくない」
「じゃあラスティに素直に話してみれば?」
ミゲルの顔が素直に歪む。
「ラスティはたぶん、ミゲルも私も赦してくれるよ?」
だってあの子は馬鹿みたいに優しいから、そう続けようとした瞬間
頬に鋭い痛みが走った。
「お前、何てこと言うんだ」
怒りを燈した瞳でを睨み付けるミゲルに一瞬、恐怖を感じた。
「」
「何」
「何がそんなに怖い?」
「何も。怖いものなんてないわよ。此処は戦場よ?」
は無表情のままミゲルと視線を合わせた。
「アイツは、そう簡単に人を裏切る奴じゃない。」
「知ってる」
「馬鹿素直で、惚れたらとことん惚れ込むタイプだし、」
「知ってる。全部知ってる」
じゃあ何が不満なんだ、とミゲルは呆れたように問う。
「優しすぎるから愛されすぎるから、だから。」
耐えられない。
「こうでもしなきゃ耐えられないのよ・・・」
彼から愛を貰うたび、私は壊れる。
「」
「言っておくけど、ミゲルが素直に話した時点で傷付けるのは私じゃなくてミゲルよ」
はそれを言うとミゲルの部屋から出て行った。
彼女の言う通り、今更引けるかといったらそれができないところまで来てしまっていた。
最初は、女の選り好みが激しいラスティがここまで惚れ込む女性を
一度抱いてみたいと思った。
運良くも、タイミングは彼女のほうからやって来て。
自分自身、女との肉体関係は多いほうであるし
その中でもいろいろなことをしてきた。
だからそういうことに関しては隠し通せる自身がある。
現にラスティにもばれなかったし、
ラスティもまさかこんなことになっていようとは思いもしないだろうから
そのうち、彼女の話や相談をされた。
そしてラスティがを愛していることを知って
自分もを愛しているのだと理解した。
偶然か否か。
脳裏に浮かんだラスティの顔は今はもはや擦れ、
はっきりとが浮かんだ。