「ラスティ何かとても楽しそうですね。」
何かあったんですか?とニコルに言われると、
自分の顔が無意識に綻んでいるのに気が付く。
ラスティはもったいぶったようにまあね、と答えるとへらへらとにやけた。
「か?」
「ミゲルアッタリ!」
「って誰ですか?」
ニコルの質問に、ラスティは待ってましたとばかりに嬉しそうに話し始める。
「オペレーターの女の子でさ、すっごいキレイなんだよ!」
ラスティが自惚れるように言うと
イザークは呆れたようにまたか、と溜息を吐いた。
「こないだまでは医務の奴だったじゃないか。」
「ああ、その子はもう切ったよ。」
笑いながらさらりと言いのけるラスティにイザークは再度溜息を漏らす。
「ミゲルはその女性を見たことがあるんですか?」
「ああ、たしかにかなりの美人だよ。」
「でしょー!」
ラスティの惚気が本格的に始まって、
ニコルははいはい、と困ったように笑いながら相槌を打った。
「あ!ー!」
いきなり立ち上がり休憩室で叫びだすラスティに
ニコルたちは吃驚して彼が手を振る方を見る。
彼女らしき女性は吃驚したようにこちらを見たあと、恥ずかしそうに手を振り返した。
茶色の髪を揺らしながら彼女はラスティ等が座る席に歩み寄った。
「もう!恥ずかしいから叫ばないで。」
「ごめんねー」
そう言いつつも反省の素振りも見せずにラスティはへらへらと笑う。
「へ〜たしかにすっごいキレイですね。」
ニコルにまじまじと見られると、は困ったように笑って小さく敬礼をした。
「オペレータの・です。よろしくね、赤服のみなさん」
「ニコル・アマルフィです。こちらこそよろしくお願いします。」
ニコルは席を一つずれると、空いた席をに勧めた。
「ありがとうニコル」
「いえいえ。あっ、こっちはイザークです。」
の視線がイザークに移る。
「イザーク・ジュールだ。」
「よろしくね、イザーク。」
仏面相なイザークには苦笑いすると、ニコルがいつもこうなんですよと笑った。
「それにしてもクルーゼ隊はすごいわね。最高評議会議員のお子さんばかりで」
「俺は違うけどな」
「ミゲルだって評議会議員じゃないものの、かなり良い家柄じゃない。」
そう対して違わないわよ、とは意地悪く笑った。
「そういえばはいくつなんですか?」
ニコルの質問に若干罰が悪そうな顔をしたあと、笑って答えた。
「18よ」
「へえ、じゃあラスティより一つ年下なんですね」
「嘘付け。そんな若くねえだろ」
ミゲルが横からつっこむと、ラスティは腹を押さえて笑った。
「一体、何歳なんですか?」
拗ねたニコルに念を押すように聞かれ、は一呼吸置いた。
「23」
あまりの年の差にニコルは驚いたように、その数字を繰り返した。
老けているわけではないが、たしかにその顔で18は無理がある。
イザークも珍しく吃驚したようすを表情に露にしたので
ニコルとイザークの反応にミゲルは可笑しそうに笑い、ラスティは吹き出して大声で笑った。
「ニコルって15だっけ?」
「そうですよ」
「じゃあ私とニコルって8つも違うんだ」
「そういうことになりますねぇ」
ふふふとニコルが笑う。
「なんか姉ができた気分です」
「僕、兄弟が欲しかったんですよね」と嬉しそうに笑う彼は愛らしい弟のようだった。
「でも姉がこんなにもキレイだと緊張しちゃいますよね」
「そうだねぇ、こんなんが姉だったら耐えられないよね」
ラスティがをからかうように言うと、は「ラスティ!」と声を上げた。
「あ、俺煙草吸いに行ってこ!ミゲルたちも行く?」
「いや、俺等はもう少し後で行くわ」
「もしかしてニコルも吸うの?」
「まさか、吸いませんよ。」
「そうよね。ラスティ、未成年が煙草なんか吸わないの!」
「何言ってんのさ、コーディネーターは15で成年!」
「それとこれとは違うのよ!」
痴話喧嘩をするように夫婦のように休憩室からとラスティが出て行くと
ニコルたちから溜息が漏れた。
「どっちも子供じゃないですけど大人でもないですよね」
ニコルの言葉にミゲルは大笑いして、イザークは鼻で笑った。